コロナうつ解消のカギは「スマホ首」自宅でもできる改善法

下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

 海外メディアも注目しているのが、日本の自殺者数の多さだ。CBSニュースは昨年、「コロナの10カ月間より多くの命が、自殺によって奪われている」とのタイトルで日本の自殺の現状について配信している。自分に手をかけずとも、心を病んだ人も含めると、膨大な数に上るだろう。実はコロナうつ、コロナ自殺を食い止める“切り札”が、首にあるという。
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 全国の自殺者数については、警察庁がまとめている。CBSが報じた昨年10月の自殺者数は、9月より309人増えて2158人。その後、公表された11月は1798人だ。10月より400人近く減っているが、対前年同月比増は5カ月連続。

自殺者急増の背景

 昨年1年間の新型コロナウイルスによる死亡者数は3492人だから、10月と11月の2カ月でこれを上回る。11月までの合計は、1万9101人で、年末からコロナ感染が急拡大しているとはいえ、過去最多となった03年の3万4427人より少ないが、一昨年の2万169人を超えそうな上昇ぶりだ。

 感染爆発が続く米国やインド、ブラジルなどと比べると、感染者数も死亡者数もケタが2つ違う。世界的にはコロナ感染が落ち着いている日本の自殺者数がこのありさまだから、世界が驚くのも無理はない。

 中でも見逃せないのは女性の増加ぶりだ。女性の自殺者数は、対前年同月比で6カ月連続で増えている。全体の傾向を1カ月前倒ししている格好だ。せいぜい男性の半数程度で推移していたが、昨年10月は852人と男性の65%に上る。今や男性の半数超えはザラになっている。

 コロナ対策もさることながら、自殺対策も不可欠なのが現状だ。東京脳神経センター理事長の松井孝嘉理事長は、自殺対策に余念がない。松井氏が言う。

「2度目の緊急事態宣言が発令されて、仕事をしている人もなるべく出社せず、在宅勤務が求められています。そうすると、仕事も会議もちょっとした雑談もすべてオンライン上で、視線はモニターに注がれるため、姿勢は常にうつむき加減です。知らず知らずのうちに首への負担が増し、首の凝りが少しずつ蓄積されます。その結果、首を通る自律神経が圧迫され、さまざまな全身症状が表れて、最悪の結末として自殺があるのです」
うつむき加減の姿勢は首への負担が大きい拡大する
頭の重さは6キロ うつむく姿勢で荷重は3倍に
 PC作業も、スマホを見るのも、姿勢は同じうつむき加減で、松井氏はその体勢をスマホと呼んでいる。頭の重さは、ボウリングで男性がよく使う13ポンドのボール並みの6キロ。それがスマホ首だと、首への負担は3倍の18キロにハネ上がる。
 頭を支える構造上の凝りやすさに加え、スマホ首の荷重があると、首凝りが悪化するのは当然だ。
 スマホ首が体によくないのは分かるが、全身症状を引き起こし、ひいては自殺の引き金になるというのは、もう少し解説が必要だろう。松井氏が続ける。

「自律神経には、交感神経と副交感神経があり、それぞれがプラスとマイナスのような関係で体の機能のバランスを取っています。その働きは、心拍数や血圧、呼吸、体温などの調節のほか、内臓の動きや瞳孔の収縮などと全身に及ぶ上、精神面にも支障を来す。自律神経のどの部分が圧迫されるかによって、表れる症状が変わってくるのです。実は、首凝りのない『精神科のうつ病』の自殺率は15%ほどですが、『自律神経障害によるうつ』が重症化すると、9割に上る。一口にうつ状態といっても、その危険度は全く違うため、スマホ首から生じる首凝りを治療することがとにかく大切なのです」

薬は根治にはならない(C)日刊ゲンダイ拡大する
20の医療機関をハシゴした患者も
 スマホ首の人は、目の疲れは眼科、消化不良は消化器科、動悸は循環器科、気分の落ち込みは精神科といった具合に病院をハシゴする。それぞれの診療科で対応する薬を処方され、その時はよくなっても、根本が首を通る自律神経だから、根治にはならない。

 松井氏のところにたどり着いた患者の中には、20カ所以上の病院に通っていた人もいるという。

 ある男性は、原因不明の微熱で市販の解熱鎮痛剤を飲んだが、よくならない。様子を見ているうちに首や肩の凝りがひどくなり、頭痛や嘔吐もするように。仕事中にトイレに駆け込むこともしばしばだった。

 内科で処方された吐き気止めや鎮痛剤を服用しながら、何とか通勤したが、よくなる気配はない。不眠も重なって倦怠感から集中力が低下し、上司の問いかけにも気づかず、怒られることが増える。「もう限界」と自殺を考えるようになったところで、家族の勧めで松井氏のクリニックを受診。51日の入院で全快し、職場復帰できたという。

 松井氏は、女性の急増とともに自殺者数が増えているのは、コロナと密接な関係があるとみる。厚労省がまとめたコロナによる解雇や雇い止めは見込みを含めて累計8万836人。そのうち派遣やパートなど非正規労働者数は、半数近い3万8598人。内閣府の調査で非正規の割合は、女性が男性の2・5倍の55%。女性の非正規率の高さが、女性の自殺者数の増加につながっていると推測する。なるほど、NHKの調査でも、コロナで解雇や休業を余儀なくされた人は、女性は男性の1・4倍の26%だ。
15分作業したら首を30秒休める(C)PIXTA拡大する
治療の3本柱 自宅では休息と保温を
 では、スマホ首に伴うあらゆる不調とオサラバして、健康を取り戻すにはどうすればいいか。松井氏に聞いた。

「まずうつむいた姿勢を長時間続けるのをやめること。パソコン作業やスマホのチェックは、15分作業したら、30秒首を休めるのです。頭と首の境目あたりで両手を組み、頭を後ろに反らして30秒ほど首を休めるといい」

 松井氏の病院を受診した人は、首への低周波治療と電気鍼、遠赤外線の3本柱の治療を受ける。低周波治療と電気鍼を個人で取り入れるのは難しいが、遠赤外線治療は工夫次第で取り入れ可能だろう。

「首を温めるのは効果的です。冷えると、首の凝りが悪化して、症状がひどくなりますから。濡れタオルを電子レンジで温めるなどして、首の後ろ側に当てるといいでしょう」

 首や肩がつらくなると、自分でその周辺をもんだりしがちだが、自己流のマッサージは百害あって一利なしだという。

「首は、もんではいけません。自分でやるなら、温めるのが一番です。できるだけ首を休めながら温めてください」

 スマホ首が解消できれば、あらゆる不調がまとめてよくなる。スマホ首による自律神経性うつなら、抗うつ剤を使わずに前述の治療でよくなるし、頼りにしていた市販薬も処方薬もすべて不要になるという。

「首がよくなると、たとえコロナで仕事が不安定でも、『新しい会社の面接を受けよう』『別のバイトを探そうか』と不安ながらも前向きにとらえることができます。『もうダメだ』などと自分を追い込むことがなくなるのです」

 コロナ禍で体の不調を感じるようになった人は首を休めて、温めることから始めてみてはどうだろう。

 

追記:松井先生の病院は香川県観音寺市にある松井病院です。0875-23-2111

    先生の著書は多数あります。