コロナワクチン「極めて有望」も見逃せない事実 午後便でも別の人ワクチンの件を記載します 

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コロナワクチンが世間の関心を集めている。外来診療をしていると、「私はワクチンを打つべきでしょうか」と聞かれることが増えてきた。
政府はワクチン接種を推奨している。ところが、多くの国民が安全性について不安を抱いている。私は「若年者なら問題ありませんが、高齢者には一律に推奨しません。ケースバイケースです」と説明することにしている。本稿では、高齢者におけるコロナワクチン接種の安全性について解説したい。
ノルウェーのワクチン接種をめぐって何が起きた?
1月15日、衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。ノルウェーでワクチンを接種した高齢者23人が死亡したというのだ。接種したのはアメリカ・ファイザー、ドイツ・ビオンテックのワクチンで、ノルウェー医学庁によると、死者13人は剖検されており、ワクチン接種との関連が示唆されるという。
ただ、同19日にはノルウェーの保健当局が「これまでのところ、ワクチン接種が死亡リスクを高めたという分析結果は出ていない」と発表し、ノルウェー医学庁の発表の火消しをはかった。保健当局は、「死亡者の多くが施設入居の高齢者で、その平均余命は短く、毎週300人以上が亡くなっており、ワクチン接種によって死亡リスクが高まったとは言えない」と述べている。その後、ノルウェー政府は、高齢者へのワクチン接種の方針を変えないことを表明した。
ノルウェー政府が置かれた苦しい立場は筆者にも十分に理解できる。コロナ克服のために、世界各国はワクチン接種による集団免疫の獲得に期待している。明確な医学的エビデンスがない状態で、ワクチンの安全性について軽率にコメントをするわけにはいかない。そんなことをすれば、世界中が大騒ぎになる。ノルウェー政府が慎重になるのも無理はない。
ただ、われわれのような臨床医はそうは言っていられない。大勢の「犠牲者」が出て、医学的エビデンスが確立するのを待っていられないのだ。私はノルウェーの報告はもっと重視しなければならないと考えている。
見逃せないのは、多くの高齢者が、ワクチン接種後、数日の間で亡くなっていることだ。ノルウェーでコロナワクチンの接種が始まったのは昨年の12月27日だ。少なくとも23人が接種後2週間以内に亡くなっていることになる。余命幾ばくもない病人にワクチンは打たないだろうから、亡くなった人の多くは接種時には体調はよかったはずだ。急死といっていい。ノルウェー保健当局の「死亡者の多くが施設入居の高齢者で、その平均余命は短い」という理屈で、今回の死亡を説明するのは苦しい。
実は、高齢者へのワクチン接種の危険性が注目されたのは、今回が初めてではない。2009年の新型インフルエンザの流行時にも同様の問題が起こっている。われわれが厚労省の公開データを分析した研究をご紹介しよう。
このときは2009年10月19日から12月21日までの間に約1500万回の新型インフルワクチンが接種されたが、1月7日現在、107例の死亡例が報告された。98例が60才以上で、全例が基礎疾患を有していた。
死亡例のほとんどが接種後4日以内
興味深いのは死亡のほとんどが接種後4日以内に起こっていることだ。接種から時間が経っての死亡例が厚生労働省に報告されなかった可能性は否定できないが、当時、新型インフルワクチンは社会の関心を集めており、死亡宣告した医師はワクチン接種後、1~2週間に亡くなっていれば、厚労省に報告していただろう。何らかの関連があると考えたほうがいい。
これまた見逃せないのは、22例の死因が基礎疾患の悪化として処理されていたことだ。このあたりノルウェーの報告と同じである。ワクチン接種時には体調は問題なかったが、接種を契機に基礎疾患が急速に悪化したこととなる。
このことは、日本国内では問題とならなかったが、われわれの研究はアメリカ臨床感染症雑誌(CID)に掲載された。臨床感染症の分野で世界最高峰の学術誌である。世界の専門家が、高齢化がもっとも進んだ日本で、高齢者を対象に集団接種を行った場合、どのような問題が起こりえるか、関心を抱いたのだろう。
実は、コロナワクチンの副反応は、新型インフルワクチンとは比べものにならない。特に接種後の炎症反応は強い。
例えば、アストラゼネカのワクチンの臨床試験では解熱剤であるアセトアミノフェン1グラムを6時間おきに内服することになっていた。1日の総投与量は4グラムだ。日本での常用量は1回0.5グラム程度で、1日4グラムは最大許容量だ。関係者が、当初から強い炎症反応が生じることを予想していたことがわかる。
副反応はアストラゼネカのワクチンに限った話ではない。昨年11月18日、アメリカの科学誌『サイエンス』は、ファイザーとモデルナのワクチンの接種には、強い痛みと発熱を伴うことを紹介する記事を掲載した。この記事によれば、接種者の2%弱が、39度以上の高熱を生じている。
モデルナの臨床試験に参加した43歳の人物は、接種部位が「ガチョウの卵」のサイズまで腫脹し、38.9度の発熱があり、筋肉と骨が激しく痛んだと言う。この人物は、「一晩中電話の前に座り、救急車を呼ぶべきか迷った」そうだ。この症状は12時間続いたという。
このような炎症反応が高齢者に生じた場合、基礎疾患が悪化し、致命的になることがあってもおかしくはない。ノルウェーの死亡例の中には、そのようなケースがあった可能性もある。
臨床結果を見る限り極めて有望なワクチン
もちろん、コロナワクチンには私も期待している。昨年11月に発表された臨床試験の中間解析結果で、ファイザー・ビオンテックのワクチンは90%、モデルナは94%、アストラゼネカは70%の有効性が報告され、短期的な有効性は、われわれの期待を大きく上回った。長期的な安全性・有効性は、現時点で評価できないが、臨床試験の結果を見る限り、極めて有望なワクチンだ。
ただ、問題は、このような臨床試験の参加者は基本的に若いことだ。ファイザー臨床試験の場合、参加者の年齢中央値は52才だ。さらに重度の合併症を有さない。この結果を、基礎疾患を有する高齢者にあてはめるのは慎重でなければならない。
では、どうすればいいのか。
私は、現役世代および合併症がない高齢者にはコロナワクチンの接種を推奨するが、合併症を有する高齢者は、リスクについて説明し、生活環境や全身状態を考慮して、総合的に判断するしかないと考えている。独居老人と高齢者施設で集団生活をしている人の感染リスクを同列に論じることはできないし、どこまでワクチン接種のリスクを受け入れるかは、それぞれの価値観で異なってくる。一律に論じることはできない。
幸い、日本は欧米諸国よりワクチン接種開始が3カ月遅れている。今春以降、日本で高齢者へのワクチン接種が始まるまでに、ワクチンの安全性について、相当のことがわかるはずだ。
高齢化の進んだ国の先行例を見よ
例えば、ロイターは1月26日に「イスラエル当局は、ファイザー製ワクチンを接種したイスラエル人に深刻な副反応は生じていないと発表」という記事を配信した。嬉しいニュースだ。ただ、イスラエルの高齢化率(65才以上人口の割合)は12.2%で、タイやシンガポールと同レベルだ。高齢化率が28%で世界一高齢化が進んだ日本にとって、どの程度参考になるかわからない。ちなみにノルウェーの高齢化率は17.3%だ。イスラエルよりは老いているが、日本よりははるかに若い。やがて、イタリアやドイツなど高齢化が進んだ国からも安全性について何らかの発表があるだろう。そのような最新情報をベースに判断すればいい。
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かくの如く、高齢者にとっての、コロナワクチンの安全性は十分に検討されていない。公衆衛生の見地に立てば、高齢者といえども、ワクチンで感染を防ぐことで救われる命は、副反応で亡くなる人よりはるかに多いだろう。政府がワクチン接種を推奨するのは、この意味で合理的だ。ただ、臨床医は目の前の患者がすべてだ。
私は、現状では高齢者に一律にコロナワクチンは推奨できないと考えている。それぞれの状況に合わせた個別対応が必要だ。少しでも不安をお感じの方は、是非、主治医に相談してほしい。