「“普通の恋愛”ができなくなった」 モデル並みの22歳美女が、彼氏よりもパパ活を優先するワケ

下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です


現実の話かと錯覚するほどリアリティある小説『彼女のスマホがつながらない』(小学館)。パパ活をするお嬢様女子大生、殺人事件を追う警察官と週刊誌編集者――。過去と現在の2つの時間軸で描かれたミステリーだ。
 著者の志駕晃さんは、同作でパパ活奨学金制度に潜む貧困問題に目を向けたと言う。志駕さんに話を聞いた。
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「モデルのような美人が、5万円で――」
――『彼女のスマホがつながらない』ではお嬢様大学に通う女子大生が登場します。彼女たちの「パパ活」というお金の稼ぎ方が印象的でした。
志駕 パパ活は3年程前から広がった言葉。男性と食事や性交渉をしてお金をもらうシステムで、相手が既婚者であることがほとんどです。愛人のような立ち位置で、相手がお金持ちだと、時には海外旅行へ連れて行ってもらえることもあるんです。そこだけクローズアップすると、女性にとっては楽しそうに感じられ、惹かれるのかもしれませんね。
――小説を書く上で、パパ活の取材もされたそうですね。
志駕 一昨年の秋からいろんなところに取材に行きました。というのも、パパ活って「食事だけ」「性交渉あり」などさまざまなパターンがあるんです。言葉として広い意味を持つので、取材も多岐にわたりました。
 私は主に高級交際クラブを取材していて、パパ活をしている20代の女子大生など、約10人に話を聞きました。どの子もキャバ嬢などの夜の街っぽさはなく、美人で受け答えもしっかりしていて、性格も明るい魅力的な子が多かったですね。でも突っ込んで話を聞くと、「体の関係アリは5万円でーー」という話になる。正直、ぎょっとします。
 今回、パパ活をする女子大生を小説に登場させたのにはいくつか理由があります。一つは『女性セブン』の連載小説企画だったから。同誌の読者は30代後半から60代の女性が中心。パパ活というテーマは「自分の娘がパパ活をしたら」「もし、若い頃にパパ活があったら」と興味を持っていただけるのではないかと思いました。
 また、パパ活の背景には女性の貧困問題があります。これはデビュー作の『スマホを落としただけなのに』(宝島社)から、私が興味を持って調べている分野でした。
 現代の日本女性は、昔に比べると奨学金返済に苦労したり、派遣社員などの不安定な雇用が増えたりして、都内で独り暮らしするには厳しい状況に陥っています。そこを描きたいと思ったんです。
彼氏よりもパパ活を選ぶ 母子家庭で育った女子大生
――女性が18歳以上であれば、性交渉でお金をもらう、いわゆる売春であっても刑罰に当たりません。一方で、既婚者のパートナーにばれると不倫として金銭を要求される可能性はありますね。
志駕 そうですね。ただパパの奥さんにばれたとしても、大学の同級生など彼女たちの周りの人間には本人が言わなければばれないんじゃないでしょうか。
 彼女たちが公にされて困るのは親や大学です。事が大きくなれば就職にも響きますから。『彼女のスマホがつながらない』(小学館
――なるほど。では注意すれば、ばれるリスクは少なく過ごせそうですね。
志駕 時にはばれますけどね。相手として多いのは、一緒にいる時間が長い彼氏のようです。
 取材した22歳の女子大生は、彼氏にばれて一度はパパ活をやめた方でした。彼女は彼氏とのお付き合いを優先したのですが、彼が疑心暗鬼になってしまい、DVっぽく責められることが続いたそうです。
 でも彼女が何よりも困ったのはパパ活をやめたことで減っていくお金です。生活にも影響が出て、とうとう「彼氏と付き合っていてもお金は増えないし、メリットがないから」と、別れてしまう。そしてパパ活を復活させるんです。
「普通の恋愛ができなくなった」
 彼女はそう言って、将来について不安そうにしていました。それに就職希望でしたから、パパ活をやめた後、社員としての収入だけで生活をコントロールできるか、わからない様子でしたね。
――その女性はなぜパパ活を始めたんですか?
志駕 奨学金が理由です。大学に進学した後、奨学金の返済や生活費でお金に困ったそうです。でも、母子家庭で育ったから、母親に経済状況を打ち明けて頼ることができなかった。かといって、バイトに明け暮れると学業についていけなくなります。
 そこで最初に選んだのが高い時給をもらえるキャバクラでした。でも肌に合わなくて、ラウンジに勤め先を変えーー。そこでお客さんに誘われて愛人のような関係になり、やがて本格的にパパ活に手を出すようになったんです。
――パパ活にたどり着くまでがあっという間ですね。
志駕 こういう話って、パパ活をしている女性と話すと普通に出てくるんですよね。
 私自身、最初はパパ活に対して、どこか信用できない気持ちを抱えていました。でも実際に話してみると、いままで出会ってきた女性と変わらない方たちばかり。そこに、パパ活に手を出さないと生きていけない切実さを感じましたね。
 もし私が、彼女と同じ立場だったら「パパ活はやらない」と断言することができない。そのくらいお金に困っている現状があるんだと思います。
アプリを使ったパパ活で、より下層へ利用が広がった
――女性たちはどういう場所でパパ活相手と出会うんですか? 
志駕 交際クラブやアプリ、以前はラウンジもありました。キャバクラよりラウンジの方が、時給が高くて私服で出勤できるため、女子大生のアルバイト先として人気だったようです。そこで「パパ活をやらない?」と声をかけてくる人がいて、始まっていきます。
 交際クラブもラウンジも、男性側に面接などを行うため比較的人となりがわかっているし、すごく貧乏な人は少ないから危険性が少ないでしょう。まあ、男性が嘘をついて入会している場合もあるので、絶対とは言い切れませんが……。
 一方で、アプリは危険ですね。金銭的なトラブルは交際クラブなどでも起こり得ますが、暴力や殺人事件などは圧倒的にアプリの方が多い。匿名性の世界だからです。
 私は、パパ活というシステムがより下層に向けて広がりを見せていると感じます。
 女性とは、出会うだけでもアプリで5,000円~1万円(取材当時)、交際クラブは入会金と紹介料を支払います。支払い金額も交際クラブやラウンジに比べて、アプリの方が低い設定ですし、ほぼ援助交際のような形で広がっているのではないでしょうか。
「アプリでできるなら手軽だ」と感じる方もいるでしょうが、むしろそこまでやらざるを得ない女性が増えてしまったと捉えるべきでしょう。
――アプリ利用者についても取材はされたんですか?
志駕 そうですね。話を聞きたくて2~3回ほどアプリを使って接触しようと試みました。でも、日時のセッティングができた後に相手からキャンセルされるんです。
 そういう場合、すぐに別の女性との時間をセッティングできるかというとそうではありません。無理やり会おうとすると、援助交際を目的とした女性とぶつかる可能性もありますから、なかなか難しいです。
――なぜキャンセルされたんでしょうか。
志駕 パパ活をしている女性には、たいていレギュラーのパパがいるんです。
 彼女たちは、スケジュールの空いている日に保険として、アプリなどで会う「都度パパ」との約束を取り付けておく。そこへレギュラーパパから連絡があれば「都度パパ」の方をキャンセルするんです。
 当日も、私と会うよりも好条件のパパが現れたのでしょう。
 一方的に約束を反故にされるし取材にもならないし、なんだか悲しい気持ちになってアプリの取材は断念しました。
コロナ禍で医者のパパが減り、CAの利用が増えた
――コロナ禍の影響は、パパ活にもありますか?
志駕 パパ活を利用する富裕層への影響はさほど大きくないと思うんです。富裕層はこのくらいの不況で財布はそこまで痛みませんし、人気のある女性との関係は今まで通りです。
 また、パパ活に参入してきた職業としてキャビンアテンダントが増えていると聞きます。人の移動が制限される中、航空会社の対応などで、生活に不安を感じている女性が増えているのではないでしょうか。
 しかしわかりやすく利用が減ったのは職業が医者の男性たち。コロナ禍で医療関係者の忙しさが増したこと、さらには新型コロナウイルス感染症への感染リスクもありますから遊ぶことが難しいんでしょうね。
 さらに人員削減の影響を受けて勤め先がなくなったり、シングルマザーだったりする人の生活苦は切実だと思います。お金が必要な女性はパパ活に向かっていくでしょう。そういう意味で、コロナ禍では経済的に苦しい女性の利用者がより一層、増えていると思います。
――女性たちは、稼いだお金をどのように使っているんでしょうか。
志駕 私が取材をした限りでは、奨学金返済などのためにお金を貯める貯金好きな人が多く、無駄遣いはしていませんね。一人暮らしをしたら、月に10万~20万円って、普通にかかっちゃうじゃないですか。だから男性から50万円をもらっても、パ―ッとは使いません。
 お小遣い稼ぎでやっている子ももちろんいましたが、どちらかというと「親に負担をかけたくない」という理由で始めている子が多いんです。
 ただ、いよいよ奨学金返済の心配もなくなり、貯金も潤沢になった時に、彼女たちがパパ活をやめられるかどうかが一つの分かれ道でしょうね。
 また、やめるきっかけの一つが就職です。キャバクラなどの水商売と同じで、就職した後に社会人として普通の生活を送れるかどうかが、彼女たちの人生を左右しています。