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老化の原因「糖化」を抑える食事、効果が期待できるのは?

下記の記事は日経グッディからの借用(コピー)です  記事はテキストに変換していますから画像は出ません

老化を進める要因として、近年、「酸化」と並んで大きく取り上げられるようになったのが、「体が焦(こ)げる」などと言われる「糖化」です。
 糖化の専門家である同志社大学 生命医科学部 糖化ストレス研究センター チェア・プロフェッサー教授の八木雅之さんは、「近年の研究から、糖化は酸化と並んで、人間の老化を進める主因の1つであることが分かってきました。糖化とは、体内の余分な糖がたんぱく質と結びつき、たんぱく質が劣化する現象です。これが体内の組織の劣化や機能低下をもたらします」と話します。
 糖化は、肌などの見た目の老化だけでなく、血管、骨、関節組織、さらには糖尿病の合併症、認知症にも関わることが近年の研究で明らかになっています。気づいたときには全身の組織が糖化でボロボロになっていた――などという事態を避けるためにも、早い段階で対策に着手したいところです。
 八木さんは、糖化ストレスの引き金になるのは「高血糖状態」(血糖値が高い状態)、特に注意すべきは食事の後に一時的に血糖値が急上昇する「食後高血糖」(血糖値スパイク)だと話します。
 「糖化ストレス対策の基本は、普段の生活習慣、特に『食事で常に抗糖化を意識すること』です。その中でも、糖化にダイレクトに結びつく『食後高血糖』を防ぐことが肝心です。1日3回の食事ごと、場合によっては間食をとるごとに、食後高血糖が起こって糖化が進んでいる可能性があると自覚することが対策の第一歩になります」と八木さんは話します。
 実際に、糖をとると、血糖値上昇とほぼ同時に、体内の糖化の指標となる糖化生成物(メチルグリオキサール:糖化反応の中間生成物の1つ)が増えていることが最新研究から明らかになっています(下グラフ)。
食後高血糖の際は、糖化生成物も増えていた
代謝が正常な人(279人)、糖代謝異常のある人(120人)、2型糖尿病患者(92人)を対象に経口ブドウ糖負荷試験を行った。糖負荷後に、糖化ストレスの指標となる糖化生成物(糖化反応の中間生成物:MGO=メチルグリオキサール)の血液中濃度を調べた。糖負荷後に血糖値が上昇するのと同時に、糖化反応によって起こるMGOの濃度も高くなった。(Diabetes Care. 2015 May;38(5):913-20.)
最も避けるべきなのは「炭水化物の固まり食い」
 では、食後高血糖を防ぐためには、どんな食生活をすればいいのでしょうか。
 血糖値を上げるのは糖質です。だから、ごはん、パンなどに代表される糖質の摂取量を抑える、もしくは、血糖値を上げにくい食品(低GI食品)を選ぶといった選択肢を想像する方も多いでしょう。もちろんこういった対策も重要ですが、八木さんは、これらの前に「主食と何を組み合わせるか」そして「食べ順」の見直しから始めてほしいと話します。
牛丼に「体に良い」というイメージは薄いが…。(写真提供:PIXTA
 「制限が多くて食事の楽しさが奪われたり、実践が難しかったりしては、長く続きません。ごはんやパンを普段と同量食べるにしても、実は『何と一緒に組み合わせて食べるか』で食後の血糖値の上昇は変わります。無理をして我慢せず、まずは食べ合わせを工夫するところから始めることがポイントです」(八木さん)
 八木さんが具体的に例として挙げるのが牛丼です。一般に、ごはんたっぷり、脂肪たっぷりというイメージのある牛丼は、体に良いという印象は薄いでしょう。しかし、「糖化」対策という観点では、白ごはんをそのまま食べるより、牛丼の方がいいと八木さんは話します。「私たちの研究から、ごはん(白米)より牛丼の方が血糖値の上昇が抑えられることが確認されています。牛丼に含まれるたんぱく質と脂質が血糖値上昇を抑制したと考えられます」(八木さん)
男女12人を対象に、白米(230g)、牛丼(白米230g+牛丼の具)を摂取してもらい、食後の血糖値を測定。その結果、牛丼の方が血糖値の上昇が低かった。(Glycative Stress Res. 2015;2(2):67-71.)
 最も避けるべきなのは「炭水化物の固まり食い」なのだと八木さんは指摘します。「コンビニでおにぎりを2、3個買ってランチを済ませる、という人は少なくないでしょう。この『炭水化物の固まり食い』が良くないのです」(八木さん)
 「おにぎりは農作業をする人、肉体労働をする人など、運動時に速やかなエネルギー補給が必要なときの“携帯食”として食べられてきたものです。食後にすぐに運動するから、血糖値の上昇も抑えられるわけです。“動かない”デスクワークの人がとると、血糖値が急上昇するのは当然です」(八木さん)
サラダチキンや酢との組み合わせで、糖化ストレスが抑えられる
 ポイントは、主食を何かと組み合わせることになります。では、具体的に主食と“何を”組み合わせればいいのでしょうか。
 「手軽に組み合わせられることができて、血糖値上昇を抑える働きが期待できるもの、それは『たんぱく質』と『酢』です」と八木さん。
 八木さんたちは、「サラダチキン」と「酢」(150mLの水に混ぜて摂取)を使ったユニークな検証を行っています。「白米(米飯)のみ」と、「白米+サラダチキン」、「白米+食酢(穀物酢)」の組み合わせで摂取して、血糖値の変化を測定しました。その結果、サラダチキン、および食酢とセットで摂取すると食後の血糖値上昇が抑えられることが確認されました。
男女10人を対象に、「白米(米飯)のみ(200g)」と、「白米+サラダチキン(55gと110g)」、「白米+穀物酢(15gと30g:150mLの水に混ぜて摂取)」を摂取した後の血糖値変化を測定した。その結果、サラダチキンと食酢をとったケースでは、食後の血糖値上昇が抑えられた。(第19回 日本抗加齢医学会総会(2019年)にて発表)
 八木さんは、魚やチーズなど他のたんぱく源でもOKだと話します。「サラダチキンの他にも、最近人気のサバ缶やチーズ、あるいは豆腐などの、たんぱく質を多く含むおかずを組み合わせれば、同様の効果を期待できます」(八木さん)。さらに「主食をとる前にたんぱく質や酢をとる、というふうに“主食を後回し”にするとさらに効果的です」と話します。
 食物繊維が豊富な野菜を主食より先に食べることも、「ベジタブルファースト」として、血糖値上昇を抑えることが知られています。八木さんは「サラダを食べる際のポイントはドレッシングです」と指摘します。
 「ドレッシングに含まれる酢、そして油が血糖値を抑えます。私たちの実験では、同じうどんを食べるときでも、素うどんより野菜をたっぷりのせてドレッシングを加えた『サラダうどん』が血糖値上昇を抑えられました」(八木さん)
 このほか八木さんは、食事の際にヨーグルトを最初にとる「ヨーグルトファースト」を勧めます。白米を食べる前にプレーンヨーグルトを食べると、食後の血糖値上昇が抑えられるそうです。
 「白米(米飯)だけより、ヨーグルトを先に食べ、その後白米を食べたほうが血糖値の上昇が抑えられたことが確認されました。この効果は、ヨーグルトの乳酸が、胃から小腸へと食物が移動する速度を緩やかにすること、そしてヨーグルトのホエイ(乳清)に含まれるペプチドがインスリンの分泌を促進することによるものと考えています」と八木さん。
注意! “朝食抜き”は次の食事での糖化を加速させる
 ここまでは、食事の内容について解説してきましたが、八木さんは、「何を食べるかだけでなく、『欠食しない』ことも糖化を抑える習慣として大切」と強調します。
 具体的に注意すべきは朝食です。朝食をきちんととることも糖化対策になると八木さんは話します。
 「朝食を抜くと、その次の昼食後の血糖値上昇が大きくなります。また、朝食は白ごはんのみよりも、たんぱく質を多く含む食事にしたほうが、昼食後にも血糖値を上昇させにくくなります」(八木さん)
 「実験では、朝食を抜くと、食後の血糖値が上昇しやすいだけでなく、いったん上昇した血糖値の下降も急でした。血糖値の変動幅が大きいほど、体が受ける糖化ストレスは大きくなるので、その意味からも欠食は避けるべきです」(八木さん)
 ここまで紹介してきた対策のほかにも、効果が期待できる対策はあります。糖化反応を抑える食物を摂取する、体内で生成された糖化最終生成物(AGEs)を分解する働きを持つ成分をとるといった対策です。糖化反応の抑制効果が期待できる食物としては、お茶、ハーブ、スパイスなど、AGEsの分解効果が期待できる食物としては、ヨモギレンゲソウ、ザクロ果実、ゆず果皮、ハーブなどがあります。