izumiwakuhito’s blog

あなたでしたらどう思いますか?

高齢になると頑固になり過激な意見を持ちやすくなる理由

下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長が女性蔑視発言の責任を取り、辞任しました。もともと失言の多い方でしたが、四方八方から「老害」と呼ばれる姿は、どこかもの悲しささえ漂っていたように思います。何でもかんでも老害と切り捨てる風潮に疑問を覚える一方、私自身そうですが、誰もが「老害」「暴走老人」と呼ばれたくないと願っているのではないでしょうか。

 そもそも人間は年齢を重ねると頑固になりがちです。頑固になると固定観念に縛られ、過激な発言をする機会も増えてしまいます。なぜ人は高齢になると、頑固になり、過激な意見を持ちやすくなるのか――。

 慶応義塾大学の田中辰雄教授と富士通総研経済研究所の調査によれば、「過激度に最も大きな影響を与えているのは年齢」とのことです。

 アンケート調査では、さまざまな年代に対して、「憲法9条を改正する」「夫婦別姓を選べるようにする」「原発は直ちに廃止する」といった政治的なテーマを10個用意し、賛否を「強く賛成」から「強く反対」までの7段階で答えてもらいました。そして、政治的な意見の過激度を測定する指標をつくり、回答者の年齢、性別、ネットメディア、テレビ番組、新聞などへの接触度との関係を分析しました。

 その結果、世間一般で言われがちな「ネットを利用したコミュニケーションが政治的な意見を過激化させる」という傾向は乏しく、単純に年齢が高い人ほど過激的な意見を持っている人が多いことが分かったのです。

 つまり、ツイッターをはじめとしたSNSの影響で過激化する人は実際には多くない。むしろ、若い人たちほどネットで多様な意見に接しており、過激な意見に振れるといった分極化はしていなかったそうです。 

 一方、高齢者ほど中庸な意見と過激な意見の分極化がはっきりしていた。興味深いことに、アメリカでも分極化の変化を調べた調査(2017年)があるのですが、「分極化が起きているのは、65歳以上のインターネットを利用していない層」であると報告されています。日本だけの傾向ではないんですね。

 では、多様な意見に接するには、ネットを利用すればいいのか?

 そうではありません。大切なのは、身近な範囲からで構わないので、新しいモノや情報に触れること。ひとつの物事や発想に執着・没頭していると、その行為に脳が最適化していきます。一見、集中力が高まり良いように見えますが、落とし穴があります。脳が柔軟性を失い、選択肢が狭まり、悪い意味で脳が最適化してしまうのです。過激な意見を持ちやすいということは、言い換えれば、「俺は間違っていない」という頑固な発想が根付いているわけで、脳が悪い方へ最適化している証左でもあります。

 そうならないために、「慣れ」よりも「新鮮さ」が重要です。新しい時代の風潮や常識といった難しいことをインプットする必要はなく、「軽い運動を新しく始めてみた」「新しいお店に行ってみた」などで十分。“新鮮さ”こそ、凝り固まった脳をほぐす名トレーナーであり、暴走老人にならない手綱となるのです。