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病気を近づけない体のメンテナンス 脳、萎縮を遅らせる7つの習慣とワーキングメモリー訓練法

下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

 どんな健康な人でも「脳の老化」は避けることができない。60歳を過ぎると、1年間に0・5%、容量にして5・4ミリリットルくらいずつ、脳が小さくなっていくことが科学的にも確認されている。この「脳の萎縮」は具体的にいうと、脳を構成している神経細胞が減っていくことで起こる。

 では、なぜ年を取ると脳が萎縮するのか。大脳研究の第一人者で京都大学名誉教授の久保田競氏(医学博士)が言う。

「その仕組みはまだよく分かっていません。はっきりしているのは、誰の脳にも萎縮による、このような変化が起こるということだけです。脳の萎縮が進むと、認知症アルツハイマー病になります。あるデータでは、70歳以上の3人に1人、90歳以上の3人に2人がそのような状態になります。しかし、同年代でも残りの人は認知症アルツハイマー病になることなく、元気に生活しています。その人たちに共通するのは脳の萎縮の程度が極めて軽いことです」

最近は脳の研究が進み、脳の萎縮を遅らせるにはどうすればいいかが、かなりわかってきているという。その「脳を鍛える」ための行動、生活習慣のポイントを列挙すると、次のようなことだ。

◆一時記憶に関わる「ワーキングメモリー」を鍛える。
◆脳の働きを活性化させる「ブレーンフード」を豊富に取る。
◆週に最低1時間は「有酸素運動」を行う。
◆美しいものに触れ、「感動する時間」を持つ。
◆「自分の好きなこと」をして、脳を喜ばせる。
◆1日トータルで7時間の「睡眠」を確保する。
◆規則正しい生活をする。

 最初に挙げられている「ワーキングメモリー」とは、一時的な記憶が保存される脳の場所のことだ。脳は同じような大きさ・数・並び方をしている細胞をひとまとめにして、「52の領域」に分けられる。ワーキングメモリーは大脳の前方にある前頭葉の「46野」で働いている。

「人間がワーキングメモリーの訓練をすると、その能力が増します。さらに、その訓練によって前頭前野の『考える能力』が高くなって、頭がよくなることも確認されています。そして、ワーキングメモリーは、複数の事柄が複雑に絡み合うほどフルに使われるという特徴があります」

 前頭葉にある「前頭極」と呼ばれる「10野」の働きも重要になる。ここは、さまざまな情報から総合的に物事を理解し、問題を解決する時や創造的なことをする時に使われる、人間だけにある領域。前頭極を鍛えることこそが、いつまでも人間らしく知的に活動するポイントになる。そして前頭極を働かせ、複雑なことをいろいろ考えて判断・実行するためには、ワーキングメモリーが必ず働いているのだ。

「それが前頭極とワーキングメモリーの萎縮が進むと、いま目の前にあることしか考えられず、計画的に物事を進めたり、先を予測して行動したり、状況に合わせて正確な判断をしたりすることが困難になってしまう。それがいわゆる加齢による脳の老化現象です」

 日常生活でワーキングメモリーと前頭極を鍛えるためには、「ブランチング課題」(複数のことを同時に行う作業)を生活の中に取り入れること。たとえば次のようなことを心がけるといいという。

【「時間」でスケジュール管理をする】

 とにかく予定を立てて、それに沿って行動する。大まかでも前日までに「何時に何をやるか」を決めておく。そのことを一時的に記憶するためにワーキングメモリーを使い、頭の中で順序立てて処理するために前頭極を働かせることになる。

【「冷蔵庫の中身」を常に把握しておく】

 冷蔵庫のどこに何をしまうかを決め、常に中身をチェックしながら、何がどのくらいあるのか、賞味期限・消費期限はいつなのか、などを頭に入れるようにする。

【手順を頭に入れて料理をする】

 家事の中でも料理は「前頭極(10野)」を鍛える、ブランチング課題の最たるもの。2、3品同時に並行して調理すると、ワーキングメモリーと前頭極が活発に活動し、鍛えることができる。

【一日を振り返りながら日記を手書きする】

 日記を書くためには、一日の行動を振り返る必要がある。この「記憶をたどって、思い出す」という行動をすると、ワーキングメモリーを働かせることになる。また、先の予定についても、手帳などにメモをして、繰り返しチェックすることを習慣づけるといい。