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線虫がん検査<上下>検体解析装置の完全自動化で実用化が可能に一般発売、10月末に開始

下記は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

病気を見つける検査にはさまざまな人工機器が用いられているが、一方で、生物の持つ驚異的な能力を生かして病気を見つける「生物診断」という検査法の実用化が始まっている。

 生物診断の研究開発、製造販売を行うバイオベンチャー「HIROTSUバイオサイエンス」(東京都千代田区)は、開発した「線虫がん検査(N―NOSE)」の検体解析装置を完全自動化させたことで、2カ所の検査センターで月間約3万件の検査の処理ができる体制となっている。

「線虫」とは、線形動物門に属する動物の総称で、回虫、ぎょう虫、アニサキスなど1億種以上いるとされる。線虫のどのような能力によって、がんを発見するのか。同社・事業本部長の久保田陽一取締役が言う。

「N―NOSEでは体長約1ミリ、色は透明な『シー・エレガンス』という種類の線虫を用いています。目や耳はなく、においを頼りに生きている線虫は、機械では検知できないほどかすかなにおいを嗅ぎ分けることができます。そしてがん患者の尿に含まれるがん特有のにおいを高い確率で検知することが研究によって明らかになりました」

 においをキャッチする嗅覚受容体様遺伝子(センサー)は、人間では約400種類、嗅覚に優れていることで知られる犬が約800種類、シー・エレガンスは、さらに多い約1200種類を持っているという。

 このようにN―NOSEは、受検者の尿でがんのリスクを調べる「がんの1次スクリーニング検査」になる。具体的には、シャーレ(容器)の中央に50~100匹の線虫を配置し、シャーレの片側に希釈した尿を置く。30分間静置させ、線虫の行動を解析する。これを同一の尿で複数回繰り返し検査する。

 これまで手作業で行っていた工程の完全自動化に成功したことで、線虫がん検査の実用化が可能になったわけだ。

「線虫が反応することが分かっているがん種は、胃、大腸、肺、乳、膵臓(すいぞう)、肝臓、前立腺など15種類の固形がんで、1度の検査で全身のがんリスクを調べることが可能です。検査の精度は臨床研究において、感度86.3%という結果を得ています。ステージ0や1の早期がんでも高い感度で反応します」


線虫がん検査<下>見分けられる感度は85%以上 自宅で完結

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、昨年がん検診を受けた人が前年に比べて約3割減少したことが「日本対がん協会」の調査で分かっている。感染を心配した「受診控え」が減少の要因で、本来であれば発見されるべきがんが見過ごされ、今後進行がんとなって見つかる割合が増加することが懸念されている。

 そんな状況において、医療機関に行かなくても自宅で簡単にがんリスクが調べられる新しい検査が登場している。「線虫がん検査(N―NOSE・アット・ホーム)」と呼ばれるがんの1次スクリーニング検査で、今年2月から東京都と福岡県で先行開始され、5月からは対象エリアを全国に拡大、7月には全47都道府県で受けられる予定という。

 線虫がん検査とはどんな検査なのか。サービスを提供するバイオベンチャー「HIROTSUバイオサイエンス」(東京都千代田区)事業本部長の久保田陽一取締役が言う。

「検査では、体長約1ミリの『シー・エレガンス』という種類の線虫(糸状の細い生物)を用います。線虫は機械では検知できない微量なにおい物質を嗅ぎ分けることができ、がん患者の尿に含まれるがん特有のにおいを検知します。ですから尿を検体として提出してもらい、がんのリスクを調べる『生物診断』という検査法になります」

 検査の手順はこうだ。専用Webサイトで検査を申し込むと、1週間程度で指定の住所に検査キットが届く。専用の容器に尿を採取したら、同梱されているIDとパスワードをWebサイトに入力し、検体(尿)の提出日を予約する。すると、その日程に合わせて専用スタッフが集荷に来るので、それまで検体は冷凍庫に保管しておく。検体の集荷から約6週間後に、検査結果が郵送で届くという流れだ。

「検査は、シャーレ(容器)に50~100匹の線虫と尿を配置し、30分ほど置いてから線虫の分布を解析します。精度を高めるため、1検体につき二十数回の解析を経て最終的な総合評価とリスクの度合いを導き出しています。線虫ががんを見分ける感度は85%以上であることが、臨床試験で確認されています」

在宅で完結できる「N―NOSE・アット・ホーム」の費用は、検査料、キット代、集荷料を含め税込みで1万3750円(北海道と沖縄は1万4300円)。一部の都市部では、検体を指定場所に提出できる「N―NOSEステーション(またはサテライト)」があり、そこに提出した場合は、集荷料2200円分がかからないという。


いよいよ「線虫がん検査」一般発売、10月末に開始


下記の記事はビヨンドヘルスからの借用(コピー)です

 HIROTSUバイオサイエンスは、線虫がん検査「N-NOSE」の一般発売を2020年10月末に開始する。同年9月27日に福岡県で開催された講演会で、同社 代表取締役の広津崇亮氏が明らかにした。
(株式会社HIROTSUバイオサイエンス〒102-0094東京都千代田区紀尾井町4-1ニューオータニガーデンコート22階)

2020年9月27日に「福岡市保健環境学習室 まもるーむ福岡」で開催された講演会後、記者の質問に応じる広津氏(写真:Beyond Healthが撮影)
 N-NOSEは既に同年1月に実用化しているが、これまでは法人や健康保険組合などを通した検査、あるいは特定の医療機関での一般検査のみの対応となっていた(関連記事:線虫がん検査、一般に受けられる施設が明らかに)。
 新たに開始する一般発売では、検査希望者がインターネットで予約すると、自宅に検査キットが届く。自宅で採尿した検体は、東京もしくは福岡の同社拠点に直接持参する。その後、結果が自宅に郵送されるという流れである。検査料金は9800円(税抜)。
 一般発売に踏み切った背景には、検査体制の拡充がある。同社は2020年7月、全ての検査解析プロセスの完全自動化に成功したことを発表(関連記事:線虫がん検査、全ての検査解析プロセスを完全自動化)。これにより、当初は年間25万検体としていた検査規模が、直近では「年間換算で約50万検体の規模」(広津氏)まで増強できているという。
開発した全自動解析装置(出所:HIROTSUバイオサイエンス)
 新型コロナウイルス感染症の拡大で、受診や検診控えが進んでいることも一般発売を急いだ理由だ。自宅で簡単に検査できる方法を導入することで、がんの早期発見を後押しする狙いである。
いずれは郵送で返送してもらう方式も
 今回の一般発売のスキームでは、前述の通り、自宅で採尿した検体を東京もしくは福岡の同社拠点に直接持参する形態を採る。これについて広津氏は、「尿検体を特に冷凍などせず郵送で送った場合でも、尿の鮮度面などで検査結果に影響が出ないことが検証できれば、いずれは郵送で返送してもらう方式も考えたい」とした。
 N-NOSEは現在、15種類のがんの「どれかがある」というリスクを判定できる。これに対して、がん種を特定できる“特殊線虫”の開発を進めていることは既に明らかにしている(関連記事:「線虫がん検査」実用化は予定通りに、次はすい臓がん向け“特殊線虫”も)。第1弾として、すい臓がんをターゲットにした特殊線虫を「2022年に実用化したい」(広津氏)との見通しを今回あらためて示した。

下記の記事はリクナビ薬剤師https://rikunabi-yakuzaishi.jp/article/column/nematodeからの借用(コピー)です

がん患者が年々増えつつある我が国において、少しでも早期かつ正確にがんを発見できるようになることは至上命題とも言えます。正しい診断が出ないと正確な治療へ移れないことを考えると、まずは診断をきちんと確定させることが重要です。検査機器などの進歩によって診断精度は格段に増してきている中で、これまでの発想とは違うまったく新しい手法による検査方法の研究も盛んに行われています。新しい手法の検査法の中で、最近話題になっている「線虫を使ったがん検査」について、今後の薬剤師との関わりの可能性を考えてみましょう。

そもそも線虫とは?
線虫とは正式には線形動物と呼ばれ、非常に多くの種類が存在します。地球上の様々な場所に生息していて、大半は土壌や海洋中で生きています。人などに寄生する回虫も線虫に分類されます。線虫の一種であるC. elegansは、体長が1mmほどととても小さく大量培養が可能という取り扱いやすさから、ラットやショウジョバエなどと並んで生物学の研究分野において、人などの多細胞生物のモデル生物としてよく使われています。
今回紹介するがん検査の研究にもこのC. elegansが使われました。あまり知られてないことですが、線虫は嗅覚が非常に優れていて、人間の約3倍、麻薬探知に使われるなど犬の約1.5倍といわれています。こういった特徴に目を付けたのが廣津博士です。以前より、がん細胞に特有の匂いがあることは知られてきていた中で、がん探知犬の話題を聞いた廣津博士は、犬よりも嗅覚がさらに優れている線虫にも探知可能なのではと考えて、研究をスタートしました。
カニズムと利点
まず、片端に健康な方の尿を置いたシャーレと、がん患者さんの尿を置いたシャーレを用意します。続いて、各々のシャーレの真ん中に50~100匹ほどの線虫を配置して、その動きを観察します。健康な方の尿の入ったシャーレでは、線虫は健康な方の尿を置いた方とは別の端に逃げるように泳ぐのに対して、がん患者さんの尿の入ったシャーレでは逆に尿を置いた方へと泳いでいくという結果になりました。がん患者さんの尿の中には線虫が好む何かがあるものと推測されます。
少し話がそれますが、これまでの研究で、匂いは濃度によって感じ方が変化するということがわかっていて、好きな匂いも濃くすると不快に感じるようになると言われています。好きな香水でも、付け過ぎると逆に嫌な香りと感じる方が少なくないでしょう。実は線虫でもその現象が見られます。尿の原液では線虫の動きに違いは見えず、適切な濃度に薄めた時に前述したような顕著な動きの違いが見られるようです。この特徴が後述する応用の際に問題になってきます。
線虫での検査はこれまでの大がかりな装置を使うわけではないので、とても安価で数百円で済みます。さらに驚くのはその精度で、約9割にも上り、しかも早期のステージ0や1なども発見できるという結果もでています。がんの部位までは特定できないものの、がんがあるとわかった人だけに詳細な検査をすればいいので、無駄な検査を減らせるというメリットがあり、臨床応用の促進が期待されています。