izumiwakuhito’s blog

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コロナワクチンは何回打てばいいのか、毎年接種の可能性も

下記は日経ビジネスオンラインからの借用(コピー)です

米国では既に多くの人が新型コロナウイルスのワクチン接種を少なくとも1回は受けているが、1回や2回の接種で十分なのか、3回目、いや4回目まで受けなければならないのかと懸念する声が一部で上がっている。
 実際のところ、現在接種されているワクチンの効果がどの程度続くのかは、まだ科学者にもわからない。
 2019年末に初めて見つかって以来、コロナウイルスは何度となく変異を繰り返してきた。従来株と異なる変異株では、感染力や致死率が高まったり、今のワクチンが効かなくなる恐れがある。常にウイルス進化の先を行くために、ワクチンの開発者は変異株に対応できるワクチンの開発を急ぐと同時に、現在のワクチンの効果がどのくらい持続するのかを見定める研究も進めている。
 場合によっては、定期的にコロナワクチンを追加接種する新たな日常が始まるかもしれないと、一部の専門家は言う。
ワクチンの効果を保つ追加接種
 ワクチンの追加接種とは「既に接種したワクチンを再度打つというもので、免疫の働きがより高まります」と米国医師会会長で、アレルギー・臨床免疫学者のスーザン・R・ベイリー氏は言う。免疫系は、2回、3回と抗原(抗体作りを促す分子)にさらされることで、そのウイルスを記憶して、免疫の応答を強化し、長続きさせることができると氏は解説する。
 たとえば、米国で50歳以上の健康な人に推奨されている英グラクソ・スミスクライン社の帯状疱疹ワクチンは、1回目の接種から2~6カ月後に再接種すると、90%を超える確率で帯状疱疹やそれに伴う神経痛の発症を抑えられる。
 新型コロナウイルスに関しては、米ファイザー社と米モデルナ社のmRNAワクチンの場合、1回目の接種後、それぞれ3週間後と4週間後に2回目を接種することになっている。米ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンは1回のみの接種だが、現在は2回目の追加接種の有効性を確かめる治験を実施している(同社のワクチンはごくまれに深刻な血栓症を発症する恐れがあるとして、日本時間21日時点では米国での使用が一時中止されている)。(参考記事:「コロナワクチン接種後のごくまれな血栓症、治療は可能」)
 ファイザーは2月に3回目接種の治験を開始しており、最高経営責任者アルバート・ブーラ氏は4月15日にテレビ局の取材に対し、1回目の接種から12カ月後に3回目が必要になる可能性が高いと話した。
 どのワクチンも、それぞれの推奨接種回数を守れば有効性は驚くほど高いことが示されている。だが、その免疫がいつまで続くのかが問題だ。また、その高い効果を維持するために近い将来(またはしばらく時間をおいてから)追加接種が求められるのかどうかも、まだはっきりとはわかっていない。
 新型コロナワクチンはまだ新しいため、追跡評価ができるほど時間が経っていない。これまでの経過を見て言えるのは、少なくとも6カ月間は高い予防効果があることだけだ。
 ちなみに、追加接種は、特定の変異株を標的とした新しいワクチンとは異なる。こちらも、一部で治験が進行中だ。
 現在、新型コロナウイルスには「懸念される変異株(VOC)」が、知られているだけで少なくとも5種類存在する。英国で最初に確認された「B.1.1.7」、南アフリカで最初に見つかった「B.1.351」、ブラジルで流行を広げている「P.1」、そして米カリフォルニア州で最初に報告された「B.1.427」と「B.1.429」だ。
 モデルナは、現在接種されているワクチンに少し手を加えて、B.1.351への有効性を試験している。ファイザーの広報担当者もナショナル ジオグラフィックに対し、現在流行中の変異株を標的としたワクチンを追加試験する可能性について検討していると語った。(参考記事:「変異株向けのワクチン戦略が望まれる理由、米国は治験を開始」)
 いまのところ、既存のワクチンではこれらの変異株への予防効果が証明されている。「変異株が出てきたからと言って、今すぐにでも何かを変更しなければならないという事態にはなっていないと思います」と、米ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターの感染症専門医であるアメシュ・アダルジャ氏は言うが、すべての感染症専門医がこれに同意しているわけではない。
「私たちは後れを取ってしまっています」
 ワクチンの効果を高める追加接種や、変異株を標的としたワクチン接種は、一部の人にとっての「新たな日常になる可能性が高い」と、米ジョージタウン大学医療センターの感染症専門医ダニエル・ルーシー氏は考えている。ウイルスは「自ら生き残るために」変異を続けており、いずれは現在のワクチンが効かなくなる恐れがある。
コロナウイルス、その変異株、そしてワクチンの数年間に及ぶ戦いの連続です。2019年から続いているこの戦いに、私たちは後れを取ってしまっています。私たちが眠っている間も、ウイルスは活動を続けています」
 米メリーランド大学医学部の微生物学と免疫学准教授のマシュー・B・フリーマン氏も同意する。「近い将来、追加接種やまったく新しいワクチンが必要になる可能性はかなり高いと考えます。ただし、どの頻度で接種すべきか、また全世界で接種が必要になるのか、それとも特定の集団に限定できるのかは、まだわかりません」。フリーマン氏は米ノババックス社のワクチン開発に協力しているが、まだ実用化には至っていない。
 3月11日付けで学術誌「Nature」に発表された論文によると、ファイザーのmRNAワクチンは、現在米国と日本で主流の変異株であるB.1.1.7に対し、実験室レベルでは有効だ。その一方で、4月9日付けで論文投稿サーバー「medRxiv」に発表された研究では、B.1.135は少なくともファイザーのワクチンをすり抜けて感染できるという暫定的な結果が示された。ただし、この調査には変異株に感染したごく少人数のデータしか含まれず、論文はまだ専門家による査読を受けていない。
 4月1日のプレスリリースで、ファイザーとビオンテックはワクチンの全体的な有効率(発症予防効果)を91%に修正し、「B.1.135の系統が主流の南アフリカでの有効率は100%」と発表した。
 アダルジャ氏は、ワクチンの有効率が50%まで下がれば、追加接種か新たなワクチンが必要になるだろうとしている。米国食品医薬品局(FDA)は2020年、コロナワクチンについて、少なくとも50%の確率で発症や重症化を防ぐ効果を期待するとしていた。追加接種の実施を決定する際にも、それを基準とすると良いだろうと、アダルジャ氏は言う。
 また、米国だけでなく他の国でも十分な数のワクチンが行きわたれば、「変異株の拡大も抑えられます」と、フリーマン氏は指摘する。これは、今後追加接種が必要かどうかにもかかわってくるが、もし追加接種や新たなワクチンが必要となれば、こちらもやはり集団で接種しなければ意味はない。
継続的な接種にはハードルも
「追加接種の要請や義務化は、一部の人には受け入れてもらうのが難しいかもしれません。1回だけならまだしも、この先も継続して負担を強いるわけですから」と、米ユタ大学の法律学教授で、内科医学の非常勤教授でもあるテニーユ・ブラウン氏は懸念する。
 インフルエンザの予防接種にしても、ほぼ全員に推奨されているにもかかわらず、米国成人の接種率は2018~2019年の流行期に約45%、2019~2020年には約52%にとどまっていた。
 米国政府はコロナワクチンの接種を義務化してはいないが、接種していないと様々な制限を受けることになりそうな動きはある。飛行機への搭乗や外国への入国に「ワクチンパスポート」の提示が求められたり、学生に接種義務を予定している大学もある。企業も社員に接種を求めることは可能だが、実際にそうする企業がどのくらいあるのかは不明だ。
 だが、特に理由もなく勤務先や民間の追加接種要請には応じたくないという人に、法律は味方してくれないとブラウン氏は指摘する。米国の法律では、宗教や健康問題(アレルギーなど)を理由にした例外さえ設ければ、接種を義務付けることを禁止してはいない(編注:日本の予防接種法では「努力義務」にとどまり、現状の法律でワクチン接種が義務付けられることはない)。