下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です


要因トップ3は「ストレス」「会話量の低下」「運動不足」
 マスクの着用が当たり前のコロナ禍で、唾液力が50%以上悪化している一方、唾液の量と質が高ければ「ウイルスや細菌などの感染対策になる」と、ほとんどの歯科医師が考えていることが調査で明らかになった。マスク時代に唾液力を上げるには、どうすればいいのだろうか。

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 この調査は、ゼネラルリサーチ社が「マスク時代における唾液力」をテーマに、全国の歯科医師1065人を対象に実施したもの。昨今の診察の中で、歯科医師が感じる患者の「口内環境や唾液の量と質」についての項目では、8割以上の歯科医が「口内環境が悪化している」と回答。9割以上の歯科医が「患者さんの唾液の量と質が下がっている」と答えている。

 また、「コロナ禍前と比べて口内環境や唾液の量と質が低下した患者さんは何%くらい増えていると思いますか」という質問に、半数近くの歯科医が「50〜70%」と回答。

 唾液の量と質が低下する要因については、「ストレス」「会話量の低下」「運動不足」がトップ3を占めている。

日本大学歯学部摂食機能療法学講座の植田耕一郎教授
ほとんどの歯科医が「唾液の量と質が高ければ感染対策になる」と
「コロナ禍の長期にわたる自粛生活で、腹の底から笑顔で笑いたい、叫びたいという欲求が抑制されるのは大きなストレス。とくに子供や若者にとっては、これ以上のストレスはありません。それだけで交感神経が優位になって口の中がネバネバになってしまいます」と話すのは、「長生きは『唾液』で決まる!」(講談社刊)の著者でもある日本大学歯学部摂食機能療法学講座の植田耕一郎教授。

■唾液は全身状態のバロメータ

 マスクを着用しなければならない環境も、緊張状態をつくってしまうと言う。

「表情が見えない中で社会生活をするのはストレスが高まりますからね。唾液は全身状態のバロメーター。結局、唾液の分泌量が少なくなると免疫力の低下にもつながってしまいます」

 調査でも9割以上の歯科医が、「唾液力が高いと感染対策になる」と考えているのだ。その理由として、「唾液には菌を殺す効果がある」「ウイルスの侵入を阻止する働きがある」「口腔内が常に洗浄される状況になる」などの意見が寄せられている。

「唾液は、悪いものをそのまま通さないで攻撃してくれるバリアーの役目を果たしています。唾液には免疫グロブリンをはじめ、ウイルスを撃退してくれる成分も含まれているのです」(植田教授)

唾液には7つの機能が
 植田教授によれば、唾液には次の7つの機能があると言う。

①口に入った食べ物を飲み込みやすくする「円滑作用」
②味物質を溶かし、味覚を促す「溶解作用」
③口の中を掃除する「洗浄作用」
酵素の力で消化を助ける「消化作用」
⑤虫歯や感染を防ぐ「保護作用」
⑥細菌の繁殖を抑える「緩衝作用」
⑦病原微生物に抵抗する「抗菌作用」

「日大医学部の救急病院からの依頼で、救急治療室に運ばれてきた患者さんを診断することがよくあります。救急搬送で点滴を受けている患者さんは摂食機能障害の状態。嚥下のリハビリは可能かどうか救急医療の医師から訊かれるわけです。そのときに、意識がない状態の患者さんでも口の中が唾液で潤っていれば、『この患者さんは予後がいいですよ』と自信を持って言えます。逆に、唾液が出ていなくて、粘膜がオブラート状に張り付いた状態の患者さんは死期が近い。これは9割以上の確率で当たりますね」

 つまり、唾液の状態で、長生きできるかどうかが決まると言うのである。

唾液力を高めるために心がけたいこと
 では、唾液力を高めるにはどうすればよいのか。

 調査で歯科医たちが挙げたトップ3は、「こまめな水分補給」「ヨーグルトなどの発酵食品を食べる」「唾液腺マッサージ」だった。つまり、脱水状態にならないように気をつけて、唾液の分泌を促すヨーグルトなどの発酵食品を食べるようにすれば唾液力がアップするというわけだ。

「発酵食品は腸を活発にし代謝を促します。それが好循環につながることが考えられます。また、唾液の分泌は自律神経が大きく影響します。1日の中で、いかに自分をさらけ出せるような解放した時間、ワクワクするような時間を確保できるかがサラサラ唾液の分泌を活発にする大事なポイントです」

 唾液の状態は、意識すれば自分で判断できる。自分が主治医になったつもりでセルフケアすることが大事なのである。
日本大学歯学部摂食機能療法学講座の植田耕一郎教授