izumiwakuhito’s blog

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「無職の息子」が介護するフリして「母の年金」で生活し始めた…そのヤバい末路

下記の記事は現代ビジネス講談社からの借用(コピー)です

親が老いて支援や介護が必要になってきたとき、きょうだいのことで悩む人が少なくありません。
きょうだいと言っても、独立して離れて暮らすようになってから何十年も経過し、価値観や考え方が変わっているのは当たり前。経済状況も家族構成もまったく違います。今回、紹介する首都圏在住のコウスケさん(仮名、50代)も親の介護ときょうだいのことで悩んでいました。
弟は「母親の年金」で生活をはじめた…
コウスケさんの母親(80代)は関西地方の実家で暮らしています。父親は二年半前に病気で他界。そのタイミングで、三歳年下の弟が「心配だから」と実家に戻りました。
母親がひとりで暮らすよりは、弟が一緒のほうが安心だとの思いから、コウスケさんは弟が実家に戻ることに口をはさみませんでした。
介護すると言ったウラで…
ただし弟は独身です。大卒で就職した勤務先が倒産して以来、職を転々としました。
「弟は飲食の仕事に就いており正月は仕事があって休めません。僕らは帰省のタイミングがあわなかったため、しばらく疎遠になっていました。父の葬儀で久しぶりに会いましたが、独身でフリーターだし、かえって弟のことが心配になりました」とコウスケさんは話します。
弟は実家に戻った当初こそ、仕事をみつけて働いていましたが、3か月ほどで辞めてしまいました。一度コウスケさんが電話を掛けると「お袋が弱っているので介護をしなきゃいけないから」と言いました。
ところが、です。
しばらくして母親からは「あの子が仕事をしない。年金を全部とられる」と電話がかかってきました。介護どころか、弟の食事まで母親が準備をしていたのです。
コウスケさんは帰省し、弟に対して「仕事を探せ。お袋の年金で生活するっていうのは、おかしいだろ」と注意しました。すると、弟は怒りだし、コウスケさんに対して「帰れ」と叫び出したそうです。
最初、とりなしていた母親も、「今日は、帰って」と言いました。わざわざ新幹線で行ったのに、母親は弟の言いなり。しかし、どうしようもなく、コウスケさんは少し様子を見ることにしたのです。
歩くこともままならなくなった母親
三か月後、コウスケさんが実家を訪れたところ、母親は床に臥せ、やつれたように見えました。やせたようにも見えます。家のなかは散らかったまま。キッチンにはコンビニ弁当の入れ物や、カップ麺、パンの袋が散乱していました。
家はちらかり… 
母親はコウスケさんにお茶を入れようと立ち上がりましたが、よろよろしており、慌ててコウスケさんが体を支えました。
コウスケさんは弟と話そうとしましたが、声を掛けても、返事はなし。弟は自分の部屋に閉じこもったままでした。
「母親は、そんな状況でも、弟のことをかばうんですよ。『あの子も、色々大変だから』と。このままでは母親はどんどん具合が悪くなってしまう。いったいどうすればいいんでしょう」とコウスケさんは頭を抱えるのでした。
暴力への「恐怖」
コウスケさんの母親のように、家庭内で起きている家族の問題を隠そうとする親は少なくありません。理由は様々です。
たとえば、この子がきちんとしないのは、親である自分の責任、というあきらめの気持ち。また、一緒に暮らしている以上、どうしようもなくなったら手を貸してくれるに違いないという希望的観測(頼りにしている)。
また、息子が悪いわけでなく、悪いのは具合が悪い自分だと考えることもあります。
また二人で暮らしているので、相手の機嫌を伺うようになります。ピリピリした空気の中では過ごしたくないという気持ちに加え、関係が悪化すると、逆らうと、暴力を振るわれるのではないかという恐怖心も出てきます。
ことを荒立てると、ご近所にトラブルが伝わり、やがて周囲から子どもが責め立てられるのではないかという不安。また、同時に仕事もせずに、ブラブラしている子を他人に見られるのは恥ずかしいという気持ち。
このような不安が母親の胸には交差しているものなのです。
しかし、隠そうとするほど、物事は悪化していきます。
無職の40代次男が老母を「虐待」の大ピンチに、長男の「意外すぎる行動」
私は90年代から介護の現場を取材し、そのリアルな現実や有益な情報を執筆や講演、NPO活動を通して紹介しています。
そうした中で、親の介護をめぐってきょうだいが悩みの種になるというケースは少なくありません。
今回、紹介する首都圏在住のコウスケさん(仮名、50代)も親の介護ときょうだいのことで悩む一人です。
関西に一人で住む母親が「心配だから」と、独身の弟が実家に戻って一緒に生活をし始めたのですが……。やがて弟は仕事もせず、母親の年金を使って生活をすようになって……。
しかし、それをとがめても母親も弟をかばおうとするので、コウスケさんは頭を抱えているのです。
母の年金が使われて…
高齢者虐待1万7000件という現実
そもそも必要なケアをせず、母親の心身の具合が悪くなれば、それはネグレクト(介護放棄)という高齢者虐待の一種だと考えられます。
厚生労働省の調査によると、家庭内での高齢者虐待は令和元年で約1万7000件に上っています。中には、高齢者が命を落とした案件もありました。
介護放棄が生じる家庭は、虐待を行う者と受ける者の2人暮らしのことがほとんど。虐待を行うのは「息子」が約4割と最も多く、次いで「夫」となっています。互いに負担を感じる介護の現場では、2人きりの生活は息苦しいものなのかもしれません。
筆者は相談先として、コウスケさんに地域包括支援センターを提示しました。「よくある話で、恥ずかしいことではない。包み隠さず気がかりなことは全部話して相談した方がいいですよ」と声をかけました。
地域のサービスを軽視してはいけない
その後、コウスケさんは母親の暮らす地元の地域包括支援センターで状況を説明、相談したそうです。
母親は介護保険の認定を受け、要介護1となりました。「小規模多機能居宅介護」というサービスを利用することになりました。「通所介護」を中心として、希望に応じて、「訪問介護」や「宿泊介護」のサービスを組み合わせて利用できるサービスです。母親は毎日のように通うようになり、表情が明るくなったそうです。
「弟が難癖をつけないかと恐れていたのですが、とんとん拍子で介護保険の認定がおりたし、支援センターの職員さんも、ケアマネさんも熱心に母を見てくれているので、弟は口を挟む余地がなかったようです」
家族関係が壊れる前に
コウスケさんは母親が宿泊介護を受ける日に、帰省して弟と酒を飲みながら話したそうです。
「弟は『介護保険って、使えるね。お袋が毎日のように出て行ってくれるから助かるよ』と言っていました。どの口が言ってんだと思いましたが、弟もどうしていいか分からなかったんですね。母親の心配がなくなり、弟も仕事をはじめることができました」
コウスケさんは安堵の表情を浮かべていました。
親の介護が始まると、疎遠になっているきょうだいとも向き合う必要がでてきます。それが結構大変で、「こんなことなら、一人っ子の方がまし」という声をしばしば聞きますが、愚痴ったところでどうしようもありません。
親にサポートが必要になったり、同居家族との雲行きが悪い様子を察知したりしたら、なるべく早い段階で、地域包括支援センターに相談しましょう。
ホームヘルプサービスやデイサービス、場合によっては施設入居で(仲が悪くなっている家族を)分離することも含め一緒に対応を考えてくれるでしょう。
家族だけで抱え込まず、専門職に関わってもらうことで、一気には難しくても少しずつ課題は解決の方向に向かうはずです。