izumiwakuhito’s blog

あなたでしたらどう思いますか?

もの忘れ多発!「もしや認知症の兆候?」と心配になったら…「脳のゴミ」を溜めない生活習慣を

下記は婦人公論オンラインからの借用(コピー)です

認知症を招く原因の一つとなるのが、「脳のゴミ」といわれる不要なたんぱく質です。ゴミを溜めないためには、若々しい血管と脳の活性が鍵に。いつまでもクリアな頭でいる方法を専門医に聞きました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)
アルツハイマー認知症アミロイドβ
「あの俳優さんの名前、なんだったかしら?」「『洗剤、洗剤』と唱えて買い物に出たのに買い忘れた」など、もの忘れが多くなると、「もしかして、認知症の兆候?」と心配になる人も多いでしょう。
「年を重ねるごとにもの忘れが多くなるのは、誰にでも起こる自然な現象。頭の中にあるデータが引き出しづらくなっているだけで、データそのものがなくなっているわけではありません。きっかけやヒントがあれば思い出せます。一方、認知症は脳の神経細胞の損壊によって起こる『病的』な記憶障害です。これは記憶そのものが欠落してしまい、進行すると日常生活に支障をきたしかねません」と説明するのは、カルナ・メドサロン院長の橋弥尚孝先生です。
認知症のタイプにはいくつかありますが、とくに女性に多いのがアルツハイマー認知症。これは脳で作られるアミロイドβという不要なたんぱく質が、主に記憶を司る海馬から溜まり、その塊が神経細胞にまとわりついて死滅させ、情報伝達を阻害することで引き起こされます」(橋弥先生。以下同)
アミロイドβは、誰の脳の中にでも存在する物質。毎日、しっかり分解されていれば問題ないのですが、加齢によって分解機能が衰えると溜まりやすくなるのだそう。
女性ホルモンの減少が、認知症のリスクを高める要因にも
「また、アミロイドβの分解には、血糖値を安定させるホルモンのインスリンが大きく関わっています。ですから、糖尿病など血糖値が高い人は、インスリンが血糖値を下げるために使われてしまうため、アミロイドβが溜まりやすくなるのです」
さらに、女性ホルモンの減少も認知症のリスクを高める要因になるそう。
「女性ホルモンのエストロゲンは、脳血管を拡張する作用があり、記憶改善に働くホルモンです。そのエストロゲンが減少すると、アミロイドβの蓄積が促進されることがわかっています」
とはいえ、すぐさま認知症を発症するというわけではありません。
認知症は65歳ごろから発症率が上がります。これはアミロイドβが10~20年という長い時間をかけてゆっくりと溜まっていくから。認知症のリスクを回避するためにも、40~50代からアミロイドβを溜めない生活習慣を心がけましょう」
認知症で表れる症状チェックリスト
3つ以上該当する場合は、一度、専門医に相談しましょう
□ もの忘れが増えたと自覚するようになった
□ 同じ話を何度も繰り返す、と家族から指摘される
□ ものが片付けられず、以前より部屋が散らかっている
□ 服装が適当になり、きちんと着こなすことができなくなった
□ 長い話を聞いているうちに、途中で理解できなくなる
□ あまり外出せず、人と会話をすることが減った
□ 些細なことですぐに怒るようになった
認知症予防のポイント】
抗酸化食品を摂り、血管や脳の老化予防を
血管を若々しく保ち、スムーズな血液循環を維持することも認知症予防のポイントだと、橋弥先生は話します。
「まずは、血液の流れを滞らせる高血圧や糖尿病といった生活習慣病を防ぐことが大切です。生活習慣病の予防は、アルツハイマー型のほか、次に多い脳血管性認知症などのリスクも減らすことがわかっています」
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加えて、血管や脳の老化を防ぐために、積極的に抗酸化作用のある食品を摂取して、とアドバイス
「ビタミンA、C、Eに、ブルーベリーやワインに含まれるポリフェノール、青魚に含まれるEPADHAといったオメガ3脂肪酸には、抗酸化作用があり、認知症のリスクを抑制します」
そのほか、きのこ類に含まれる天然のアミノ酸「エルゴチオネイン」にも抗酸化作用があるそう。
「エルゴチオネインには、ビタミンEの約7000倍ともいわれる高い抗酸化作用があるのが特徴。体内に取り込みやすく、脳にも行き届きやすい性質があります。脳の神経細胞が損壊したときに摂取すると、保護作用や新生作用が期待できるという報告もあるほど」
抗酸化食品で老化のもととなる「体の錆び」をくいとめることが、脳の健康を保つにも有効です。次ページからは、認知症を予防する生活習慣を詳しく紹介しましょう。
認知症予防のポイント】
抗酸化力のある緑黄色野菜、きのこ類、青魚を摂取
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「トマトやホウレンソウ、ブロッコリーなど色の濃い緑黄色野菜や、ニンニク、ニラ、ネギなどの香りの強い野菜には、抗酸化作用のある栄養素が豊富に含まれています。毎日の食事で意識して摂りましょう。また、エルゴチオネインは、まいたけ、しいたけ、エリンギといったきのこ類に幅広く含まれています」(橋弥先生。以下同)
魚料理なら、アジやサバ、サンマやマグロなどの青魚をチョイスしましょう。
「青魚に含まれるEPAやDHAは、血栓を防ぐと同時に、神経細胞のつながりを促進し、アミロイドβの蓄積を抑制します。週に2回青魚を食べたら、アルツハイマーになる確率が41%減ったというデータもあります」【認知症予防のポイント】
睡眠、軽い運動、脳トレ…プラスαの生活習慣
(1) 良質な睡眠を確保して
「眠っているときは新陳代謝が活発に行われ、細胞が新しく生まれ変わります。すると溜まりかけていたアミロイドβの分解も促進されるので、良質な睡眠は必須です」
睡眠不足や浅い眠りは、睡眠の質を悪くし、アミロイドβが溜まりやすくなるということ。「睡眠時間は5時間以上とるよう心がけましょう。また、アルコールは眠りを浅くするので、寝酒は1杯にとどめて」
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(2) 有酸素運動生活習慣病を予防
血流を促進する点から見ても、肥満や糖尿病、高血圧といった生活習慣病予防の観点からも、適度な運動は必要です。
認知症のリスクを下げる習慣として、WHO(世界保健機関)でも運動を強く推奨しています。1日20分程度、合計して週に150分程度の運動を行うことを心がけましょう。ウォーキングや自転車などの有酸素運動がおすすめ。血行を促し、脳も活性化させます」

(3) 手先を動かして脳に刺激を
「手先を使うことは、脳を活性化させ、認知症予防につながります。おすすめは調理。手先を使ううえに、段取りを考えながら作業することが、いい脳トレになります」
とはいえ、慣れたメニューばかりではマンネリに。できるだけ新しいメニューに挑戦しましょう。「そのほか、手芸なども脳の活性化にはよいと思います」
イラスト: 小林マキ
取材・文・構成:葛西由恵(インパクト)
出典=『婦人公論』2021年5月25日号
橋弥尚孝
カルナ・メドサロン院長、医学博士
大阪大学医学部医学科卒業後、同大学医学部附属病院医員などを経て、2011年より現職。